マナ (食物)
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マナ(Manna, מן, מָן mān)は旧約聖書出エジプト記第16章に登場する食物。イスラエルの民がシンの荒野で飢えた時、神がモーセの祈りに応じて天から降らせたという。この時人々は「これは何だろう」と口にし、このことから「これは何だろう」を意味するヘブライ語のマナと呼ばれるようになる。
ヘブライ語ではマーン מָן mān という。マーナーは全体の一皿の食べ物(コースの中の一品)、数を割った商などの別の意味の言葉である。
露が乾いたあとに残る薄い鱗もしくは霜のような外見であり、コエンドロの実のように白く、蜜を入れたせんべいのように甘いとされる。早朝に各自一定量ずつ採って食べねばならず、気温が上がると溶けてしまう。また、安息日には降ってこないのでその前日には二倍集めることが許されている。カナンの地に着くまでの四十年間、イスラエルの民の食料だった。
マナの伝承が誕生した原像として、カイガラムシなどのカメムシ目ヨコバイ亜目の排泄物である甘露が乾燥したものが想定されている。ヨコバイ亜目の昆虫は植物から吸汁して生活するが、中でも篩管液を専門に摂取するものが多い。植物の篩管の中の液には糖分は多量に溶けているが、アミノ酸など他の栄養素は乏しい。そのため、これらの昆虫の消化管には濾過室と呼ばれる器官があって、過剰の糖分と水分を消化管後部に短絡させて排泄してしまう。これが甘露であり、西アジアのような乾燥地帯では水分がすぐに蒸発するため、植物に群がったカイガラムシの下で霜のように堆積した寒露の成分が容易に採集できる。後世の西アジア遊牧民の民俗例でも、実際にこれを採取して食用にする事例が報告されているという。
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